映画赤ひげは、黒沢明監督の最後の白黒映画です。

「赤ひげ」は準備から完成まで１８ヶ月かかり、撮影の日数は４ヶ月を要し、シナリオ作成の期間をも含めると３年以上を費やして完成させた超大作となっています。「赤ひげ」は黒沢明がもっとも尊敬し愛した作家、山本周五郎の「赤ひげ診療譚」を原作とした人間性あふれる作品です。放映時間としては、実に３時間５分という長さです。

この「赤ひげ」は黒沢作品の中では最後の「白黒映画」となり、また三船俊郎の最後の出演した映画ともなりました。「泥臭いヒューマニズム」という点においても最後となってしましました。黒沢明監督は、クランクインの時にベートーベンの「第九」を何度も聞かせてたことはあまりにも有名な話です。ここに黒沢明監督の魂の叫びとでも言える映画への情熱を感じます。

観客が映画を見終えた時に、「力がみなぎっていなければならない」と考えていたようです。この言葉どおりこの映画「赤ひげ」は人間の魂をゆさぶる作品にしあがり人間の歓喜を表現する名作になっています。ヴェネチア国際映画祭サン・ジョルジュ賞を受賞しています。主演の三船俊郎はヴェネチア国際映画祭最優秀男優賞を受賞しました。