黒沢明の映画「赤ひげ」の描き方
加山雄三、当時26歳は「若大将シリーズ」で人気絶頂の映画俳優になっていました。黒沢明監督のもと「椿三十郎」にも出演しています。そしてこの映画「赤ひげ」では保本登という青年医師として演技をしています。
この若きエリート医師の保本登(加山雄三)はオランダの最新医学を長崎で学び、その後小石川養生所に勤める事になるところからはじまります。この小石川養生所とは、貧しい人々のための医療機関です。ここで働くことにたいして、必ずしも保本登(加山雄三)はエリート意識がじゃまし、決して満足し働きはじめたわけではありませんでした。
そこでの保本登(加山雄三)は、不満を常に持ち何事においても投げやりな態度を示すことが多い生活をしていました。保本登(加山雄三)は反発しながらも小石川養生所の所長、赤ひげこと新出去定(三船敏郎)の人間性を通して、医師のあり方を学び、先輩医師、貧しい患者達や療養所の職員などとの交流を重ねながらも徐々に一人前の医師として成長をして行きます。
主人公は赤ひげなのですが、この作品は敢えて保本登(加山雄三)にスポットを当てながらその保本登(加山雄三)の目を通して赤ひげの人となりを描いていく手法をとっています。